令和8年度 第2学期始業式 講話
皆さん、おはようございます。
はじめに、8月に発生した「千葉豪雨」、そして7月に発生した「熊本地震」で被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。また、亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。8月末には北陸地方や埼玉県内でも豪雨による被害が出ています。皆さんの中にもご親戚など関係者がいらっしゃるかもしれません。心よりお見舞い申し上げます。被災地の皆様が、一日も早く落ち着いた生活を取り戻せるよう、心から願っております。
さて、1学期の終業式の際、校長の私から皆さんへ、一番の宿題であり、絶対にお願いしたいことを伝えました。覚えているでしょうか。
それは、「9月1日の2学期始業式に、全員が元気な姿で、再びこの場所に揃うこと」でした。
夏休み中、大きな事故などの報告はなく、皆さんが安全に過ごし、こうして令和8年度第2学期の始業式を迎えられたことを、大変嬉しく思います。
狭山工業高校65年目となる第2学期のスタートにあたり、少しお話しさせていただきます。
この夏、狭山市立博物館では特別展「─ものづくりの街 さやま─ つくる・はこぶ・あそぶ クルマ展」が開催されています。この特別展では、普段学校で学んでいる自動車に関する技術はもちろん、自動車工業の歴史、さらには最新技術の紹介がされています。普段はボディの中に隠れている実際の自動車部品や模型を間近に見ることで、「百聞は一見に如かず」の重要性を実感できる内容です。機械研究部のエコカーの映像も流れています。今週末の9月6日日曜日まで開催されていますので、ぜひ足を運んでもらいたいと思います。新たな発見や学び、未来への夢がいっそう広がることを期待しています。
この特別展でも紹介されていますが、ここ狭山市は、本田技研工業株式会社・ホンダの埼玉製作所狭山工場が1964年に誘致されたことをきっかけに、自動車工業が市のまちづくりに大きく貢献してきました。狭山工場ができた同じ時期に開校した本校・狭山工業高校は、地元のものづくり人材の育成を強く期待され、現在もその重要な役割を担い続けています。今年度の本校への求人数は、過去最高だった昨年度を超え、実に5,000件を超える規模となっています。
1学期の終業式でもお話ししましたが、皆さんは、今の時代が心から必要としている「金の卵」です。工業技術者の不足は日本だけでなく世界的に深刻化しています。そんな中で、皆さんが狭山工業高校の生徒として身につけた技術や知識は、社会の最前線で大いに期待されているのです。このことに自信を持ち、自分自身の能力を信じてください。皆さんが「ここで学んでいる意味」は、単に資格や技術を得ることだけではなく、「皆さんが未来をつくる力を持っている」という証なのです。特に3年生の皆さん。この2学期は入社試験や入学試験など、人生の大きなターニングポイントとなる進路選択のイベントが控えています。企業や社会は、皆さんという「確かな技術を持った人材」を、心から待ち望んでいます。準備を怠らず、自信をもって挑みましょう。
さて、そのホンダ狭山工場ですが、2021年まで主に四輪車の製造を行っていました。シビック、アコード、オデッセイ、ステップワゴンなど、皆さんもよく知る名車がここで製造されてきたのです。その後、部品生産を2年前の2024年まで続けていましたが、現在は工場としての機能は停止しています。かつての工場の建物はすべて解体され、現在は更地になっています。しかし、新聞記事によると、この跡地は今後、EV(電気自動車)などに搭載される最先端のバッテリーを製造する工場に生まれ変わるそうです。自動車の「電動化」という時代の変化に合わせて、狭山工場も新しくリニューアルされるのです。
自動車の電動化とは、内燃機関(エンジン)中心の従来の技術から、電気モーターとバッテリーを中心とした「新しい技術体系」へ移行することを意味します。自動車は、あらゆる専門分野の技術が集まってできています。本校の設置学科に当てはめて考えると、これまでは「機械科」で学ぶ内容が多くを占めていましたが、今後は電動化に合わせて、「電気科」や「電子機械科」で学ぶ内容がますます増えていくことになります。
いろいろな専門分野が集まって、1つのものをつくる。これは自動車に限りません。世の中のすべての工業製品がそうなっています。1つの目的に向けて、それぞれの専門分野の技術をどのように組み合わせ、調整していくか。その知恵を結集して完成させているのです。
これからの社会は、AI(人工知能)やIoTなどの急速な技術の進展により激しく変化し、多様な課題が生じていきます。そうした課題を解決するためには、専門学科や文系・理系といった枠にとらわれず、それぞれが得意とすることをベースにしながら、様々な情報を統合し、新しい価値を創造していく力が求められます。
狭山工業高校には3つの専門学科があり、それぞれに得意分野があります。皆さんの中には、自分の専門学科で学ぶこと以上に、他の分野に興味や強みを持っている人もいるかもしれません。このように、異なる得意分野や興味を持つ仲間が集まっている狭山工業高校こそ、これからの社会で求められる「協働する力」を育む、最高の環境です。ぜひ、互いの違いを強みに変え、新しいことに挑戦していきましょう。
10月に予定されている文化祭「狭工祭」では、専門学科やクラスの枠を超えた素晴らしい企画が準備されていると聞いています。昨年以上に、素晴らしい企画になることを期待しています。地域に求められ、地域に育てられてきた65年目の狭山工業高校の力を、地域の方々に見ていただける最高の機会です。多くの方に足を運んでいただけるよう、しっかり準備をしていきましょう。
2学期は、「狭工祭」をはじめ、水泳大会、修学旅行、地域イベントへの参加、各種コンテストなど、様々な行事が集中しています。3年生の「課題研究」もいよいよ力が入る時期です。これらの取組みは、それぞれ異なる強みを持つ仲間とのコミュニケーション力や責任感を身につける重要な場です。皆が協力し合って一つの目標に向かう経験は、社会人になってからも必ず皆さんの力になります。
校訓である「誠実」「創造」「不屈」そして「和楽」を、いま一度心に刻んでください。そして、いつも話している「凡事徹底」と「初心忘るべからず」です。
夏休み中の経験を活かし、モチベーションを新たにして、2学期の学びに臨んでください。積極的に参加し、失敗を恐れずチャレンジしてください。皆さんの可能性は、どこまでも広がっています。
最後に、夏休み明けは気持ちが不安定になる人も少なくないようです。もし不安なことやわからないことがあれば、一人で抱え込まず、周囲の先生や家族に相談してください。皆さんは一人ではありません。この学校には、皆さんが悩んだ時に必ず力になってくれる先生方や、相談窓口があります。どんなに辛い時でも、必ず出口はあります。命の大切さを心に留め、助けを求める勇気を持ってください。
皆さん一人ひとりが、自分の持つ力と価値を信じ、切磋琢磨することを心から願っています。規則正しい生活を心掛け、日々の授業や実習に全力で取り組めるよう、体調管理にも気をつけてください。
それでは、第2学期も一緒に頑張りましょう。