令和7年度 校長だより

令和7年度 第1学期終業式 校長講話

皆さん、おはようございます。

本日で令和7年度の第1学期が終了します。この1学期、授業や部活動、学校行事に真剣に取り組む皆さんの姿を見て、概ねしっかり取り組めているのではと感じています。4月の始業式でお話しした「初心忘るべからず」と「凡事徹底」を心に留め、高校生活を過ごしてくれたでしょうか。この2つの言葉は、これからの生活でもぜひ忘れずに大切にしてほしいと思います。

さて、明日から始まる夏休みですが、この期間は、単なる「お休み」ではありません。文部科学省では、長期休業について次のように定めています。
「長期休業は、日常の学校生活とは異なる生活の中で、学びを深め、体験を通じて自らの成長を促すための機会である。」
つまり、夏休みはこれまでの学びを振り返り、新しい体験を通じてさらに成長するための貴重な時間なのです。

今日は、その中でも「本物を見に行く、体験することの大切さ」についてお話しします。

まずは、私自身の体験を少しお話しします。10年ほど前、埼玉県教育委員会がJICA(国際協力機構)の「草の根技術協力事業」として、ブラジルの教育団体に協力するプロジェクトを行いました。その際、私は4回ほどブラジルに行く機会を得ました。

ある芸人さんが地面に向かって「ブラジルの人、聞こえますか~」というギャグを披露していますが、ブラジルは地球の反対側にあり、日本から到着するまで丸2日かかります。初めて訪れたとき、広大な自然や多様な文化、そして現地の人々の明るさと温かさに触れる中で、教科書や映像では得られない「本物の感動」を味わいました。

特に印象に残っているのは、現地の学校で子どもたちや先生方と交流したときのことです。言葉は通じなくても、笑顔や身ぶり手ぶりを通じて心が通じ合う瞬間がありました。「人と人とのつながりの大切さ」を深く実感したこの経験は、私の人生において非常に大きな財産となっています。


次に、もう少し皆さんに身近な例を挙げたいと思います。私はこれまでに何度も、広島の原爆ドームと平和記念資料館を訪れたことがあります。今年も2年生と一緒に修学旅行で訪れる予定です。皆さんも教科書やテレビで原爆ドームの写真を見たことがあるでしょう。しかし、実際にその場に立ち、目の前にある建物を見たとき、その空気感や重みを全く別の形で感じたことを覚えています。

原爆の被害を受けながらも崩れずに残るドームの姿は、戦争の悲惨さと平和の尊さを無言で訴えていました。また、資料館では、被爆者の遺品や記録映像に触れる中で、「これが本当に現実に起きたことなのだ」という実感が胸に迫りました。どんなに教科書で学び、写真を見ても、本物を目の前にしたときの衝撃や深い学びには敵いません。

広島を訪れた経験を通じて、平和について考えることの重要性、そして戦争の悲劇を二度と繰り返してはならないという強い思いを抱くようになりました。このように、本物を見て、体験することでしか得られない学びがあるのです。

(最後に広島を訪れたのは2020年11月。原爆ドームは保存のための工事中でした。(一番左))

今では、インターネットを通じて世界中の情報が簡単に手に入ります。原爆ドームや平和記念資料館の写真や映像も、検索すればすぐに見ることができます。皆さんも日々スマートフォンやパソコンで、さまざまな情報に触れていることでしょう。

しかし、ネットで得られる情報はあくまで「画面の中の世界」です。実際にその場に立ち、空気を吸い、目で見て、心で感じることは、デジタルでは決して再現できません。例えば、原爆ドームの前に立ったときに感じる静けさや、資料館で体験する胸に迫る思いは、現地を訪れなければ得られないものです。

だからこそ、ネットで見るだけで満足せず、実際に自分の足で出向き、体験することが重要なのです。本物を目の前で見て感じることで新たな学びや価値観が生まれ、心に深く刻まれるものがあります。

皆さんも、この夏休みをぜひ「本物を見て、体験する」時間にしてほしいと思います。例えば、博物館や美術館を訪れて歴史や文化に触れる、自然の中で新しい発見をする、地域の伝統行事に参加するなど、身近なところにも多くの学びの機会があります。

特に3年生は進路活動が本格化する時期です。企業見学や上級学校のオープンキャンパスに出かける人も多いでしょう。また、1、2年生の中にも上級学校のオープンキャンパスに出かけたり、インターンシップを希望し、実際に企業での就業体験に挑む人もいると聞いています。こうした体験を通じて、「自分の目で見て、感じて、学ぶ」ことが、将来の自分を形づくる大きな一歩になるはずです。

まさに「百聞は一見に如かず」です。どんなに話を聞いたり、文章を読んだりしても、実際に自分で見て、体験することには敵いません。自分の足で現地に行き、自分の目で見て、自分の心で感じたものは、何ものにも代えがたい貴重な財産となります。それは学びであり、感動であり、そして皆さん自身を成長させるエネルギーとなるのです。

もちろん、夏休みを充実させるためには、基本的な生活習慣も大切です。早寝早起き、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、健康な体と心を保ちましょう。また、この時期は外出の機会が増えるため、交通安全や熱中症対策、自然の中での活動時の注意など、安全第一を意識してください。

楽しい夏休みを台無しにしないためにも、危険な行動を避け、周囲の人々への思いやりを忘れないようにしましょう。安全で健康的な生活を心がけることで、充実した夏休みを過ごすことができます。

夏休み明けには、皆さんがどんな体験をし、どのような成長を遂げたのかを聞くのを楽しみにしています。新しい発見や感動をたくさん持ち帰り、さらに一回り大きくなった姿で登校してきてください。

最後に、改めてお伝えします。

「初心忘るべからず」「凡事徹底」、そして「百聞は一見に如かず」。

これらの言葉を胸に刻み、充実した夏休みを過ごしてください。そして、2学期には、皆さん一人ひとりがさらに輝く姿で学校生活をスタートできるよう願っています。

それでは、素晴らしい夏休みをお過ごしください。